沖島の郷愁風景

滋賀県近江八幡市<漁村> 地図 
 町並度 5 非俗化度 9 −湖の島の漁村風景−

 近江八幡の沖1.5kmにある沖島は琵琶湖最大の島であり唯一の有人島である。湖の島に集落が形成されている例は世界的にも珍しく、学術的にも注目されている。
沖島漁港の風景 海辺の風景そのものだ




集落のほとんどはこのような路地風景で占められている



 島民も多くは漁業を主産業とし、名物鮒寿司をはじめ港に接する漁港の一角では湖の産物が素朴な売店で販売されている。漁船の舫う姿は海岸の漁村と何ら変わるものではなく、ただ漁港に潮の香りがなく魚のほのかな生臭さのみが漂っているのが湖であることを認識させてくれる。
 歴史は古く中世初期には定住者の記録があり、琵琶湖水運の拠点として位置づけられ、諸船の監視など軍事的役割も課せられていた記録がある。また関ヶ原役後の徳川家康による佐和山城攻めの折にも水軍として徴用され活躍した。それらの見返りとして、漁業権などに特権が与えられ保護されていたので、沖島の漁民は他の琵琶湖岸の漁村より豊かであったという。
 一時は戸数が100戸を超えた時期もあるといわれるほど賑わった。
 島は東西にやや広がった形をしており、南西端にわずかながらに平地があってそこに集落が開けている。ほとんどの地区では細い路地のみの密集型集落で、家々が軒を接していた。意外にも伝統的な佇まいがあちこちにみられ、古い町並ともいえる風景が随所に展開している。これも中世以来の歴史を有していることによるものか。それよりも乗用車の通れる道がほとんどないことから近代的な発展が阻止されてきたことの方が大きいのだろう。
 一部は島の西岸に達しており、こちらでは湖とは思えぬ波が打ち寄せていた。島でもこちら側は「外海」なのだろう。消波ブロックなどで湖岸が防御されているのが印象的であった。
 










訪問日:2011.05.22 TOP 町並INDEX