大蔵谷の街道風景

兵庫県明石市<街道集落> 地図
町並度 3 非俗化度 8 −わずかに残る旧山陽道の面影−



大蔵谷の町並


 大蔵谷は明石市の東端、すぐ東を神戸市垂水区に接し、海岸部は大規模な人工海岸が整備されて大蔵海岸として散策客を集めている。その付近からは長大な明石海峡大橋が見渡せる。山陽本線、山陽電鉄、そして国道2号線が並行して通行量も多く、近代的な都市型景観が広がっている。
 一方で、国道の南側、大蔵海岸の海浜公園との細長い一帯には昔の町が線状に残っている。旧山陽道の街路筋で、明石城下から東進してきてここで宿駅を形成していた。天保時代の資料では旅籠60軒とあり、数字で見る限り大宿場であるが、後に町の1/3が明石城下に吸収されたりしてその規模を縮小している。幕府から指定された宿場、いわゆる本宿としての扱いも受けていなかった。
 当時の風情が残るのは朝霧川西詰より始まる一本道で、突当たりの交番付近まで約1kmの区間である。この交番付近は当時枡形だったところで、現在でも立派な道標が保存されていた。
 比較的道幅もあり見通しも利く為、開放感を感じさせてくれる家並だ。但し伝統的な建物はわずかしか残っておらず古い町並としての体裁は失われつつあった。近年の著しい都市化、そして阪神大震災の被害が大きかった地区でもあり、ほとんどが更新された姿のようだ。一部はマンションに改築され、または更地となり駐車場等となっている。中2階で虫籠窓や袖壁を従えた昔ながらの家屋も、建替えられ旧街道の面影が完全に失われる日もそう遠くはないように感じた。
 




旧山陽道沿いにわずかに残る町家建築



袖壁に小さな鏝絵が残る家もあった。


訪問日:2005.06.19 TOP 町並INDEX