留浦・中山地区の郷愁風景
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奥多摩町域は平地がほとんどなく、多摩川が開析した深い谷と険しい山地で占められる。ここで紹介するのはその急峻な山地に展開する集落群である。 |
留浦(奥地区)の風景 | |
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留浦(峰地区)の風景 | 留浦(奥地区)の風景 |
蛇行を繰り返す多摩川の上流域は多くの小支流を従え、複雑な谷間が多く、そのような土地にも古くからの集落が存在し生活が営まれている。 中でも留浦地区は支流沿いの谷間斜面に展開する東京都最奥部に存在する集落の一つで、斜面上に耕地と民家が立地している。羊腸の細道を上がると集落の前の谷が深く刻まれているさまが望まれ、中央高地や四国山地などにある山上集落と何ら変わらない。都内とは思えない風景である。 留浦地区には最奥部の奥、その手前の峰という二つの斜面上集落があり、峰集落のやや標高の低い位置には意外にも間口の広い木造の建物が何棟か残っている箇所がある。旅籠か宿屋ではないかと見紛うほどの立派な民家群であった。 地区内には他にも幾つか集落が存在していたが、多摩川に小河内ダムが建設されるにあたって湖底に沈むことになってしまい、他の地区に疎開し集落は消滅した。ダム湖は広大で西に大きく伸び山梨県境付近にまで達している。 |
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一方ダム堰堤より少し下流の中山地区にも小規模ながら斜面上集落がある。この地区から山梨県にかけて特徴的な兜造りの家が眼につく。また大柄な家や土蔵を多数従えた旧家もあり、山村集落とはいえ比較的裕福であったのだろう。 崖の中腹を切り開いた一本道の両側は急斜面で、特に谷側に立てられた家々は崖にせり出したような建て方であり、厳しい環境にある集落であった。 |
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境(中山地区)の風景 |
訪問日:2012.05.27 | TOP | 町並INDEX |
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