奥津の郷愁風景

岡山県鏡野町【温泉町】 地図
 
町並度 4 非俗化度 5 −吉井川沿いに開ける歴史の古い温泉街−




奥津温泉の町並 奥津荘を中心に落着いた温泉街が展開している


 奥津温泉は県の北部、吉井川の上流域に小さな温泉街が開けている。美作三湯に含まれ、県内では有名な温泉のひとつである。歴史は古く平安期に発見されたともいわれる。
 江戸期は一時幕府領の時期もあったが大半が津山藩領に属し、藩主の別荘が設置され、湯治場として整備されたことから一般の民衆も利用するようになり、温泉街が形成された。一方で藩主の森忠政は自分専用の浴槽を持ち、他の者の入浴を禁じていたという。
 大正15年に多くの旅館を焼失する火災が発生しており、現在見られるのは古いものでもそれ以降に建てられたものであろう。しかし代表的な老舗旅館である奥津荘は厳かな構えを見せ、歴史の古い温泉街の風格を漂わせるものであった。但し、町並としてはそれほど連続する箇所はなく、古い町並として評価するにはもう一つといったところである。
 吉井川の河原には露天風呂が設けられているが、これは入浴するためのものではなく洗濯場なのだという。ここでは温泉の湯を使った足踏み洗濯の伝統があり、今でも観光用に実演されるとの事である。
 
 




旅館の横路地の風景






川沿いから温泉街を望む 川岸にある露天風呂は実は洗濯用

訪問日:2012.10.08 TOP 町並INDEX