草津の郷愁風景

滋賀県草津市<宿場町> 地図(旧本陣付近を示す)
 町並度 4 非俗化度 6 −中山道を分岐する東海道の重要な宿場町−

 草津市は京阪地区の通勤圏に含まれ、駅前は典型的な郊外型の風景で個性がない。しかしこの町の歴史は藩政時代の主要街道が分岐していた交通上非常に重要な位置にあり、市街地にも淡いものではあるが面影を感じさせる。

草津一丁目の町並


草津一丁目の町並 旧草津宿本陣


 駅前を東西に中山道が現在の道に踏襲されて残る。南に商店街を抜けるとトンネルをくぐる。これは天井川となった草津川を潜るもので、トンネルが掘られたのは明治のことで中山道時代は徒歩渡りで渡っていたという。増水時に人足の世話になる場合は有料となり、水かさによって料金が定められていた。
 そのすぐ先が東海道との合流点となっており、さすがに主要街道の分岐点らしく高さ4mを超える大きな道標が保存されている。
 追分から程近い位置に旧本陣が残る。草津宿には本陣が2軒あったが、これは当主田中氏が代々守り続けていたもので、その規模は大きく468坪もの敷地面積を有し、部屋数は39もある。一見の価値のある建物である。
 十一町余(約1.3km)の規模を誇っていた草津宿も、古い町並としては現在では本陣付近と、草津川に沿う一部の地区に残るのみで、残影は淡かった。前者では宿場町当時に模した店舗として改装されていたり、カラー舗装が施工されていたりと町並度の割に随分意識された色が濃い。一方後者では虫籠窓などの残る町家が比較的自然体の趣を感じさせる。
 東海道はさらに南に明確に街道筋を残し、宿場から外れた矢倉地区などにも所々街道集落らしい伝統的建物が散見できる。

 




草津二丁目の町並



矢倉一丁目の町並
訪問日:2010.12.05 TOP 町並INDEX