早瀬の郷愁風景

広島県音戸町<農村集落> 地図 <呉市>
町並度 4 非俗化度 10 −平地の商家建築と石垣が多用された斜面集落−














平地では商家建築も見られる一方 斜面集落の印象深い早瀬の町並


 音戸町域は北部の旧瀬戸島村には港町・漁村の色合いが高く商業の発達を見たが、西部の旧渡子島村では農業が産業の中心であった。生産物は米をはじめとした穀類、後にレンコン、蜜柑、甘藷などが多く栽培された。また豚などの畜産農業も多く行われた。
 早瀬瀬戸を介して能美島との距離が近く、集落付近に昭和48年に早瀬大橋が架設され、呉市街地まで陸路でつながったことから、付近は車の通行量もおおくのどかな雰囲気ではない。しかし集落内の街路は軽自動車以外はなかなか入ることのできない路地が多くを占め、しかも急坂が多い。わずかな平地の部分では商家を思わせる大柄な邸宅も散見され、土蔵を従えた風景もあった。一方多くの部分では高い石垣を築いた上に宅地が形成される斜面上集落であった。
 町並の姿からしてもやはり漁村らしい色合いはなく、農業や商業により成立した集落であることがわかる。特に石垣が多用された風景からは、海岸部であることも感じさせないような雰囲気があった。
 島は全体に石切り場が多く、豊富に石材が入手できたから石垣が容易に築けたのだろう。

訪問日:2018.06.03 TOP 町並INDEX