小島・来島の郷愁風景

愛媛県今治市【漁村】 地図
 町並度 4 非俗化度 7 −来島海峡を限る二つの島 戦時の要塞や水軍の遺構−
 




小島の集落風景 




  島には戦時の遺構が随所に残っている
   
 西瀬戸自動車道で四国側から最初の橋、第三来島海峡大橋を渡ると左手(北側)に小さな島が望まれる。その名も小島(おしま)で、橋のたもと近くの波止浜港から客船が結んでいる。
 集落は南岸付近に固まり、一部は海岸線から少し内陸に向けて家々が散らばっている。町並・集落としてはさほど特筆されるものはないが、明治中期の日清・日露戦争時に建設された砲台、弾薬庫、兵舎、地下室といった構築物が多く残り、芸予要塞の島として知られる。 周囲3kmほどの島とはいえ、遺構は島の内陸に点在しているため訪ね甲斐がある。頂上にある司令塔跡付近からは大橋や周囲の島々の眺めが素晴しい。
 
 
 

 客船は小島との間にもう一つ、来島という島に寄港する。海峡名のもとともなっているが、非常に小さい島で周囲はわずか850mしかない。ただこの島の周囲の潮流は複雑で、島名は「狂う潮」に由来しているとも云われ海賊の海上の要塞として古くから位置付けられていた。村上氏はここに築城し、石垣や井戸が残るという。
 小さな漁港に4・5艘の漁船がつながれ、家々は海岸線に連なっている。思いがけず商家を思わせる大柄な家もあって、そこがまず意外に感じるところである。中には格子が綺麗に残される建物もあった。また塀と門を構える風景も見られた。
 しかし無住となっている家屋も少なくないようで、眼にした住民の方は、私と入れ違いに船に乗って来られた年配男性のみであった。
 波止浜港のすぐ先にあり、島から造船所群を眺められるほど近い。しかし、この島の集落としての将来は、それほど長いものではないのかもしれない。
 


来島の漁港風景




 来島の町並



訪問日:2023.08.19 TOP 町並INDEX