大隅高山の郷愁風景

鹿児島県高山町<商業町・武家町> 地図 <肝属町>
 
町並度 4 非俗化度 8  −麓集落とともに商業も栄えた大隅半島の一拠点−






 高山町は大隅半島の東部に位置する半島の主要な町のひとつとなっている。この付近は半島といえども比較的平坦な地形が展開しており、肝属川流域は昔から稲作が盛んなところであった。




本町の町並 町家建築も残りかつての商業の中心地であった
 

 中世には高山城が存在し、肝属氏の拠点であった。島津氏の進出により幾度かの抗争の結果勢力を失い、以後島津氏の掌中の地となった。
 江戸時代、鹿児島藩の直轄地として地頭が置かれ、いわゆる麓集落が発達した。明治維新に至るまで地頭職をつとめた者は39代に及んだ。麓集落は高山城とは離れた平野部に形成され、城下町的な整然とした町づくりが行われた。
 高山の麓集落は、「野町」と呼ばれる商業が行われる町場が併設されていた。肝属川の流域に作られたことは好都合で、河口へ小舟で、さらに港から各地と航路で結ばれ物流の点でも好都合だった。この波見浦は藩内の要港の一つに数えられ、菜種や砂糖、塩などを満載した船が多く寄港したという。
 町の中心は近代的な佇まいだが、本町地区の東西の通りは野町の名残なのか、所々に伝統的な建物が残っていた。それらは妻入りの形式をとり、中には1階部分も原型をよく保ち蔀戸や潜り戸付きの大戸を持つものも見られた。
 肝属川の支流高山川の対岸には、麓集落を連想される佇まいも残っていた。濃度は淡いとはいえ、この双方の顔が残っていることは価値のあるものと言えるだろう。




前田の町並 武家町らしい佇まいが残っていた
 

訪問日:2014.01.03 TOP 町並INDEX