大隅横川の郷愁風景

鹿児島県横川町<産業町> 地図  <霧島市>
 
町並度 3 非俗化度 9 −古くは金山で栄えた霧島火山群西麓の町−


横川の町並 百貨店の文字が見える店舗もある
 横川町は県の北部、霧島山系の西麓に位置しており鹿児島湾に注ぐ天降川の上流域で、流域では水田も見られるが火山灰性の丘陵が多くを占め、畑作が主体となっている。
 この町の歴史の重要な鍵に金山が挙げられる。西部山地の山ヶ野金山は江戸初期には佐渡金山をも凌ぐ産出高を誇り、元禄の頃からは次第に減少したものの山ヶ野と近隣の永野には4,000人弱の人口を有し、産出された金は鹿児島藩を潤した。それらは島津氏による新田開発にも使われた。
 金山は明治以降も続き、近代化も果たしたが大正期以降は衰退し、第二次大戦時に幕を閉じた。しかし、この金山が横川の町の発展に大きく寄与したことは間違いないだろう。
 天降川にその支流が交わるその二股のような地区が町の中心部で、特徴的に思えるのが伝統的な建物というよりは商店が多いことだ。百貨店の文字が残るやや大柄な店舗の姿、洋風の外観を持つ建物なども見られる。それらの多くは店を閉めているが、かつてのこの通りの賑やかさは如何ばかりであったろうと思わせる風景であった。
 川を跨いだところにある肥薩線の大隅横川駅は立派な木造駅で、風格を感じさせる駅舎は登録有形文化財となっている。開通した明治36年建築そのままの駅舎は県内最古のものである。肥薩線は昭和2年に水俣・川内などの海岸部を通るルートが開通するまでは鹿児島本線であったことから、かつては幹線駅として賑わい、それは現在の閑散ぶりからは比較もできないものであったろう。








大隅横川駅(明治36年築)


訪問日:2020.01.03 TOP 町並INDEX