尾頭橋の郷愁風景

名古屋市中川区【花街】 地図
 町並度 4 非俗化度 8 −奇跡的に残った遊興の残影−

 





 名古屋駅から東海道本線でわずか1駅東の隣駅が尾頭橋である。近年になって設置された新しい駅で、駅前には近代的な都市の風景が展開しているやに思われるのだが、南側を中心に予想外の町並が展開していた。


 
尾頭橋四丁目の町並




尾頭橋四丁目の町並
 

 東海道本線と東海道新幹線、名古屋鉄道の三本が近接して並走している。ここで紹介するのは新幹線と東海道本線の間に挟まれた扇形の地区、尾頭橋3〜4丁目の界隈である。
 伝統的な古い町並とは異なるが、戦後に八幡園と呼ばれる遊興地区が発達したところである。八幡の名はこの地区がかつて呼ばれていた八幡村に由来する。中心に尾頭橋公園があり、なぜか催し物でもできそうなステージまである。この公園を中心として放射状に枝道が分岐している。いわゆる当時の赤線地区として計画された名残と思われる。
 線路に囲まれた狭い土地であることからか大規模な都市開発が行われなかったことが、その残影を濃く残す結果となっていようだ。長屋風の旅館建築が現れたかと思えば、次には細部の意匠にこだわりを持った店舗建築もある。いかにも妖艶で特別の客を迎え入れるような雰囲気に満ちているような外観だ。そうした建物が、今は閑静なマンション街・住宅地の中に高密度に残存している。
 町並の性格からして保存の対象とはならないと思われるが、ここまで残っていること自体に高い価値が見出せるものといえよう。


 

尾頭橋四丁目の町並 尾頭橋三丁目の町並



尾頭橋三丁目の町並

訪問日:2012.01.04 TOP 町並INDEX