尾張萩原の郷愁風景

愛知県一宮市【宿場町】 地図 
 町並度 5 非俗化度 7  −美濃路の宿場町−


 萩原地区は一宮市の中心から南西に5kmほどのところにあり、名古屋鉄道の尾西線が結んでいる。地形的には木曽川左岸堤内の低地にある。
 かつて東海道と中山道を結ぶ美濃路が横断し、宿駅が設置された歴史を持つ。
萩原の町並






 






 


 西側の木曽川堤に位置する起宿、東の稲葉宿の間に設置された宿駅で、その規模は美濃路の中では小規模なものではあったが、本陣・脇本陣を構え大名通行にも対応していた。ここは当初から宿場町として計画的に建設された町であるため、歩いていてもいかにも街道集落といった一本道に沿い連なる家並が実感できる。むろん現在では大都市郊外地として面的に住宅地が展開しているが、伝統的な建物はほぼ旧美濃路に限定される。
 旅籠17軒を有しており、問屋2軒、茶屋や各種商店が連なっていた。遊女屋も存在しており歓楽的要素も兼ね備えていた。また機織業も行われ、明治にかけて盛んになり主に結城縞を生産し各地に販売された。
 かつての宿場街は現在では商店街となっているが、営業されていないものも多く現在を象徴するような地場の商店街の風景が展開している。しかし伝統的な建物が随所に見られることで、旧街道に根ざした町並であることがわかる。いずれも平入り切妻の形をとり、漆喰に塗り固められた袖壁が二階両側に設けられている姿も見られた。もと郵便局と思われる洋風建築も残り、かつての町の中心、先進的な賑わいを呈していたところであることを示していた。
 この宿場内の美濃路は何度も直角に折れ曲る街路形態を持ち、それは防衛上の措置といわれる。郊外地にありながら、歴史を十分主張している町並であり、それを活かした取組を行えば魅力が引き出せるのにと、そう思いながら後にした。


 
 
訪問日:2013.08.13 TOP 町並INDEX