埴生の郷愁風景

富山県小矢部市<街道集落>地図 
町並度 4 非俗化度 8 −北国街道 倶利伽羅峠麓の小さな集落−






 
埴生の町並


 県の西部、礪波平野の北西部を占める小矢部市。中心部の石動(いするぎ)地区から南西に1kmほどのところに埴生という地区がある。平野の辺縁にあたり、西には石川県との境をなす山地が立ちはだかっている。この山地は北国街道の難所倶利伽羅峠を擁していて、街道通行が盛んだった頃は峠下の集落としての賑わいがあった。
 石動地区に設置されていた宿駅・今石動宿とは別に、この埴生は「加宿」に指定され、峠越えを控えた旅人がここでひと時旅装を解き、休息そして宿を取る者もあったという。宿屋のほか飲食店や商家が立ち並び、また月に6日ほどは馬の運商業者を助成し、峠の通行の補佐を行った。
 強力のたむろす峠下の村といったところだろうが、その賑わいから木綿産業や茶碗などの什器生産も行われる産業町としても発展していた。
 旧北国街道沿いにはこの地方独特の平入り・袖壁付の町家が見られ、漆喰壁に梁組を表した真壁も目立つ。一階部分は多くが改装されているものの、開放的な構造となっているものが多いためかつては商いをしていたであろうことが推測できる。
 黒瓦を葺いた渋い町並で、伝統的な建物の密度はそれほど高くないものの趣を感じさせる町並であった。
 
 









訪問日:2013.05.04 TOP 町並INDEX