鯖江の郷愁風景

福井県鯖江市【陣屋町・産業町地図 
町並度 5 非俗化度 7 −陣屋町を基盤に各種産業が発達した−





旭町一丁目の町並(家老植田家長屋門) 本町二丁目の町並(料亭の建物)




旭町三丁目の町並 本町三丁目の町並


 県都福井市の南に位置する鯖江。北陸本線・北陸自動車道が市域を縦貫し、ローカル鉄道の福井鉄道も通り交通は至って便利なところである。
 享保5(1720)年に越後村上より間部氏が入部、鯖江藩が成立した。当初は生産性の低い土地で、藩の財政は芳しくなかったものの、北陸道の東側を占めていた東鯖江村を取得して街道の両側が藩領となってからはこの界隈を中心に町方が発達、陣屋町が形成され武家屋敷なども配置された。同14(1729)年には約1000人の人口を擁した。しかし既に諸藩が成立していた中で遅い成立であった同藩は、支配地が割り込むように形成されたこともあり、領地支配は困難を伴った。しかし間部氏支配による鯖江藩は維新まで営々と続いた。
 明治以降は商業町・産業町として発達した。明治半ば、羽二重と呼ばれる織物の生産が当地で盛んになり、絹織物王国と言われた福井県の中でも主要な産地として発展した。また漆器生産は江戸期より細々と続けられてきたが、明治になって輪島などから技術導入があったことで主要産業となった。さらに眼鏡枠は明治末期に家内産業として始められたもので、現在でも全国のトップシェアを誇っている。
 現在の町並には陣屋町の痕跡は少ない。その中で唯一といってよいのが本町にある植田家の長屋門で、代々藩の家老職をつとめた旧家である。付近の家並を圧倒するような堂々たる門で、良くぞ残ったというべきだろう。
 この付近には密度は高くないものの伝統的な建物が面的に残る。袖壁を持つ町家建築や土蔵、料亭として使われている商家風の建物など、散見的ではあるが古い町であることを伝えている。
 
 




本町一丁目の町並 深江町の町並
 

 市街中心から南へ向かう深江町・舟津町付近にも街村的な古い町並の連なりがある。旧北陸街道筋に沿って町家や商家が集まっていたのだろう。本町界隈などとはまた趣の少し異なった町並が展開していた。
 


舟津町二丁目の町並
訪問日:2018.08.11 TOP 町並INDEX