佐伯の郷愁風景

岡山県佐伯町<商業町・陣屋町> 地図
町並度 5 非俗化度 9 −川運と鉱山で栄えた町 陣屋も置かれていた−

重厚な商家の見られる佐伯の町並


 吉井川の中流域、西に大きく蛇行するあたりに佐伯の町が開ける。
 当地は市場村と呼ばれた町の中心に港が設けられ、高瀬舟によって物資が川を上下していた。市場村には2艘、上流側に接する頭村には7艘の高瀬舟が常備されていた。左岸には津山往来も縦貫し、美作との国境に位置する交通の要衝でもあった。
 また頭村には岡山藩家老・土倉氏の陣屋が置かれ、一時は武家屋敷が建ちならんでいたという。それらを基に商家が集まり町場が発達したところである。
 明治に入ると付近で鉱山が開発され、高瀬船は年貢米に代り鉱石輸送に活用され活況を示した。しかし大正11年片上鉄道が開通すると舟運は衰退した。
 現在公的機関が集まる左岸側から橋を渡るとかつての市場・頭地区であり、県道の北側に逆L字型に古い街区が残る。重厚な商家風建築が多いのが特徴で、中には隣接する建物が撤去されたことで吉井川の堤防下まで長々と付属屋や土蔵が連なる光景も見られた。それだけ奥行が深い建物が多い。二階部の貼瓦、出格子なども見られ、一部は本瓦葺屋根を持つものもあった。
 多くはもと商店だったらしく一階部分が開放的な構造となっている。しかし今歩いても営業されている姿は無く、ひっそりとした山あいの集落といった風情である。




土蔵等が堤防近くまで連なり奥行が深い敷地を有する旧家





訪問日:2019.07.14 TOP 町並INDEX