福浦の郷愁風景

青森県佐井村【漁村】 地図 
 町並度 4 非俗化度 10 −景勝地・仏ヶ浦の北に接する漁村集落−

   

 下北半島北西部は景勝地仏ヶ浦などに象徴されるように峻厳な海岸線が連なり長らく陸路を拒んでいた。それでも所々に沢や小川が流れくだり、小さな平地を形成している箇所がある。この福浦はそうした場所にある漁村集落である。
 盛岡藩領田名部通に属していたが、険しい地勢のこともあり廻船問屋の定着はなく、純粋な漁村であったようだ。田名部五ヶ湊・七ヶ湊としても指定されていない。
 漁獲のほか、背後の森林で得られる檜材の積み出しがおこなわれ、それらを糧に息づいてきた集落である。また海苔も産物として知られていた。
 南に1kmほどのところに仏ヶ浦を控え、集落の前後は険しい断崖の海岸が展開している。冬の風波もじかに押し寄せるところで、非常に険しい環境下にある集落といえる。しかし訪ねた時は海も穏やかな表情を見せ山々も新緑が芽吹きだし、美しい集落風景であった。この辺りの漁村集落は漁具などを収納する板張りの建物が海岸線に並び、奥に住宅を構えるのが一般的で、ここでもその形が見られる。小川に沿い少し平地が延びているためやや集落の奥行が深くなっており、そこに小さな神社やわずかながらの商店もある。
 印象的だったのが旅館の建物で、それも古い歴史を持つ外観を持っていた。夏場の民宿ではなく旅館業として古くから続けられている宿のようで、どのような需要があるのか、興味深いところである。
 


福浦の漁村風景  








町並では旅館建築が複数見られるのが特筆される

訪問日:2018.04.30 TOP 町並INDEX