西越の郷愁風景

青森県新郷村【農村集落】 地図 
町並度 4 非俗化度 8 −屋根並が印象的な農村集落−








トタン葺の大屋根家屋が特徴の西越集落 右下は鐘楼を持つ消防詰所の建物


 新郷村西越地区は八戸から十和田湖方面に向う道筋の中間付近から少し南に外れたあたり、馬淵川支流である浅水川上流部に位置し狭い谷底平野が展開している。
 中世には三戸南部氏の支配地であり、西越館には西越氏が居館していたとされる。
 18世紀後半の寛政年間の「邦内郷村誌」では、家数167に対し270匹の馬を飼養との記録があり、馬を労力に活用して農林業を行っていたことが伺える。商工業が発達したという記録もないようで、純粋な農村集落として息づいてきたようだ。明治に入っての主な農産物は米・麦をはじめ麻糸、そして鳥類とある。
 西越集落付近は、幹線道路ではないが四方向から道路が合流してくるちょっとした要衝となっている。そのため集落付近の車の通過は比較的多い。トタン葺・寄棟が主体の屋根はもと茅葺であったと推測され、実際茅葺のままのものも数棟見られる。そのうち一棟は登録有形文化財に指定された坂本邸だが、公開されていないのはまだよいものの傷みが見られ、また他のトタン葺家屋も無住のものが少なからず見られた。
 近くの少し小高い所から望むと見応えのある屋根並だが、この風景が見られなくなるのもそれほど遠くないものなのかもしれない。
 そんな中、消防詰所の鐘楼を持つ建物や、唯一残る商店が現役なのを見るとほっとするものを感じた。




一部では茅葺の家屋も残る 左は登録有形文化財の坂本家

訪問日:2018.04.29 TOP 町並INDEX