幸崎能地の郷愁風景

広島県三原市<港町・漁村> 地図
 町並度 5 非俗化度 10 −かつての海岸線に沿って密かに息づく町−






幸崎能地4丁目の町並


 幸崎町は三原市の南西端にある町で、付近の海浜部には大規模な造船工場も立地しているなど近年の変化著しいところであるが、古くからの町は渋い味わいを残している。
 「芸藩通志」によると、古くは安直(あちか)郷に指定されたとされ、藩の蔵入地であった。瀬戸内航路の内初期の主流だった地乗りの港として、西隣の忠海(竹原市)とともに港町として繁栄していた。また鯛網など漁業も盛んだった。
 

元診療所の建物(登録有形文化財) 

 周辺の地形からして集落の外側はすぐ海に接していたものと思われる。それは集落内の道が円弧を描いたり曲折を繰返してかつての海岸線なりに連なっていた様子が伺えることからも明らかだ。 そしてその通りの両側に接して建つ家々は、漁師町らしい板塀に覆われたものが多く、集落の西部にあっては漆喰に塗り回された商家らしい旧家も幾棟か残っていた。また、中心付近には洋風の構えを持つ建築が残り、町並探訪に彩を添える存在となっている。登録有形文化財となっているこの洋風建築は診療所として建てられたもので、現在は地元の金工作家清水南山の資料館として使われている。この建物の存在からも、明治期以降もしばらく周辺地域の中心としての役割があったことを示していた。
 ここは2004年に何の資料や情報もないまま訪ね探りてたものであるが、古い町並と呼ぶに十分なものが残されている。このような町並を探り当てることが、町並探訪の醍醐味である。
 
 

 


※2022.01再訪問時撮影

訪問日:2004.12.05
2022.01.30再訪問
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