醒井宿の街道風景

滋賀県米原町<宿場町> 地図 <米原市>
 
町並度 5 非俗化度 5 −豊かな湧水の流れる宿場町−
 





醒井の町並




醒井の町並 妻入りの大きな旧家も残っている。


醒井は中山道の宿駅のあったところで、東は柏原宿を挟んで美濃(岐阜県)に至る。一風変ったこの地名は「居醒の清水」に由来するともいわれている。この町を歩くと、水量豊かな流れが心を和ませてくれる。
 私が訪ねた時、流れの中には藻が涼しげに茂り、蕾を持っていた。バイカモと呼ばれる水草で、冷たい清流にしか棲むことのできないハリヨと呼ばれる小魚も生息している。その景観は中山道が機能していた頃から当然あったはずだ。その当時の旅人はこの清流風景を見てどんなに疲れを癒されただろうか。
 ここは幹線国道からも眼と鼻の先で、国道沿いでもこの湧き水を売り出しているためそれを目当てに探訪する客も見られる。流れに沿って食事処等歓待する施設もあって、地味ではあるが観光地的な雰囲気がある。
 但し外来者の訪問はほとんど水のある風景を目当てにしてのことであって、中山道の宿駅であったことを種に訪ねる客は少ないだろう。宿駅であったことを知らずに訪ねる人も多いに違いない。
 醒井宿は今でこそ町並としてはまばらで、家並は流れの反対側の一面に歯抜け状に残り古い町並としてはいま一つではあるが、本陣・脇本陣を備え旅籠十一軒を従えた立派な宿駅であった。
 この地蔵川を渡る地点に石橋があり、醒井宿を代表する眺めとなっているが、ここまでが宿場であり、袂には高札が置かれていたという。
 訪ねた日は地蔵川沿いに植えられている桜が満開で、清い流れとの取り合いが実に美しかった。
 町並よりもこの風景に心惹かれるような探訪であった。水の豊かな風景、とりわけ清い湧水の風景は心を和ませるものがある。町並共々派手に着飾ることなく守っていって欲しい。



清冽な湧水の流れと桜並木。醒井の風物詩である。

訪問日:2005.04.16 TOP 町並INDEX