高蓋の郷愁風景

広島県三和町<商業町> 地図 <神石高原町>
町並度 3 非俗化度 10 −物資輸送の拠点として主に明治以降発展を見た−


 


 
 





 
 

 三和町高蓋は吉備高原の西端、芦田川水系の矢多田川上流の狭い盆地に市街が展開する。西に10km弱で上下、南に15kmほどで府中に達する。
 江戸時代は初期に福山藩領や幕府領の時期があったが、多くを豊後中津藩領として経過した。当藩はこの高蓋の地に役人を派遣、商法館という施設で産物売買の取り扱いを行い、商業が興って次第に町場を形成してきたといわれる。この商法館は幕末には年貢を銀納するためにも使われたという。
 本格的な発展は明治以降で、県道西城福山線の開通により神石・比婆両郡と県南部を結ぶ幹線路となった。中継点にあった高蓋は賑わいを示した。明治後期には商家30・旅館2が立地し、多くの物資が集散、また通過していった。また米・麦・コンニャクなどの農業も盛んに行わていた。
 町中は街路が鉤型に屈曲するような個所もあるため、県道は南側にバイパスの形で造られたのが古い姿を残す結果となった。伝統的建物は少ないものの街村としての形がはっきりと残り、立派な格子の見られる旧家もある。また洋風の外観に瓦を葺いた個性的な建物もある。理髪店として使われていたが、これが元郵便局だろうか。明治に入り商法館の位置に建てられたものという。
 現在の幹線道路からは道筋が大きく外れ、県道も時折車両が通過する程度で少々寂しさを感じる家並であった。
 



 



 
   
   
   

訪問日:2021.03.14 TOP 町並INDEX