三瀬川の郷愁風景

山口県周東町【山村集落・産業町】 地図  <岩国市>
町並度 3 非俗化度 10 −紙生産で栄えた山間部の集落−





 旧山陽道沿いの周東町高森地区から北西に10kmほど、山道を辿り峠を越えた狭い平地にこの三瀬川地区がある。
 中世には三瀬川郷と呼ばれ、古くから開けていたところであることがわかるが、山陰方面に抜ける街道に面しているわけでもなく、ほぼ山峡の袋小路のようなところにあったと思われる。




一部では商業町的な町並風景も見られる三瀬川集落


 産業として紙漉きがあり、一部は藩へ献上がされていたといわれる。それを核に明治期も楮皮のほか歯煙草、米麦、蒟蒻玉などの農産物、加工品としての半紙などが移出され、山間の狭い盆地は重要な産業町だったようだ。また養蚕も盛んで大正末期頃には120余りの養蚕農家があったという。
 そのような各種産業が発達した名残は現在の集落風景からは感じられない。ただ狭小な山道を延々と辿った末にたどり着く地としては、平入りの町家建築をはじめどっしりとした商家を思わせる建物が見られるなど、その史実を知らなければ意外性に満ちた風景が展開するところともいえよう。






訪問日:2017.03.19 TOP 町並INDEX