野田の郷愁風景

鹿児島県野田町<武家町> 地図 <出水市>
 
町並度 6 非俗化度 8 −武家門と生垣・石垣が程度良く残る町並






野田(旧熊陳馬場)の町並
 

 
 県の北西部、出水市の西10km弱の位置にある野田地区。古くは出水郡の西端を占めており、慶長4(1599)年に一帯は出水郷に属した。その後明暦3(1657)年に野田郷が分離独立し、郷士400人弱を抱える麓集落となった。熊陳馬場と呼ばれる街路が整備されて郷士が住まい、通りは武芸や乗馬の練習場としても使われた。
 またこの熊陳馬場は薩摩街道(出水筋)沿いにもあたっており、通行人も多く賑わっていたという。
 野田郷の地頭仮屋(別荘)は現在の野田小学校付近に存在したとされる。敷地の西に接する南北の県道に沿い特徴のある町並風景が連なっている。整然とした石積と生垣が約1kmにわたって続き、所々に武家らしい薬医門が残る。旧武家屋敷の常で屋敷そのものは建替えられ近代的な外観を示しているが、門は一部に修復を受けたものがある程度で現役当時そのままのものが多いという。門だけ取っても貴重な遺構といえよう。商家町などとは異なる空気を感じることができる。
 出水の武家町には規模や質の面で一歩譲るとはいえ、この野田麓も格式を感じる姿を存分に残している。国道に案内標識を見かけたが、町並内には外来者を案内する説明板などは設置されていなかった。整えられた町の姿から、意識されていることは間違いないところだが、公的に保存活動を行う価値もあると思われた。
 




横道にも生垣の連なりが残る






武家門が往時の姿のまま多く残っている


訪問日:2017.06.10 TOP 町並INDEX