古江の郷愁風景

三重県勢和村<街道集落> 地図 <多気町>
 
町並度 5 非俗化度 10 −伊勢参宮の街道沿いに密かに残る町並−
 

訪問日:2010.10.11 TOP 町並INDEX
 

 三重県中部の内陸部は丘陵地帯が複雑に入組み、谷間には全て伊勢宮へ向う街道が伸びていた。沿道に大きながない脇街道でも、伊勢神宮に向う人々の往来は盛んで、特におかげ参りといわれた伊勢参宮の流行期にはそれが顕著であった。
古江の町並 妻入り旧家が目立つ街道集落である
 


 



 




 

 
 この古江集落が面するのは和歌山城下と松坂城を結ぶ和歌山街道の脇往還で、伊勢神宮とを短絡する街路であった。ここから北に宿場町であった丹生、さらに東に向い城下町田丸を経由していた。
 和歌山別街道という名で呼ばれていたこの往還に沿い、伊勢地方らしい妻入りの旧家が見られる。中には堂々たる屋根の立ち上がりを持つ町家もある。街道集落らしい連続性も保った風景は小規模ながらなかなか壮観で、人知れず古い町並を残していた。
 この集落は宿場に指定されていたわけではなく、人々の多くは農家であり、農閑期には薪取りや木綿繰りなどを細々と行う程度であったが、参宮者の通行が盛んな時期には商売も行われていたと思われる。それによるある程度まとまった収入がない限りここに見る本格的な町家建築は存在し得ないものだろう。
 今ひとつ詳細な情報が少ないこの集落だが、古い町並の連なりが残されているということはそれ相応の商業的繁栄の歴史が秘められているに違いない。