芝大門の郷愁風景

東京都港区【門前町・花街】 地図 
 
町並度 3 非俗化度 6  −増上寺の門前町とともに遊興の地として長らく発展−
芝大門1丁目の町並 左は大門と呼ばれる増上寺の門
 

 芝大門という地名はそれほど古いものではなく、芝門前など小さな町区が雑然と存在していたものを、昭和47年にこの地域の象徴的な存在であった増上寺の大門の名をとって命名されたものである。
 最寄駅は都営地下鉄浅草線の大門駅であるが、JR浜松町駅からも徒歩圏内であり、また西は芝公園を経て東京タワーも建物の間から意外な近さに見える。
 もともとは増上寺の門前町として発展した町で、江戸初期には既に店舗が建ち並び賑わうところであったという。門前には遊興街も発達し、遊郭も形成されていた。東海道の西側にあった芝一帯は江戸の南西限の地で、有数の遊郭地帯であったそうで、現在でも所々にその雰囲気が残る一角があるという。
 芝大門の象徴である増上寺の大門は車道上にどっかりと跨ぎ厳かさを感じさせるが、付近の表通りは近代的な都市の風景が広がるばかりで、門前町や遊興地として賑わった古き時代を想起させるものはない。
 
 






 一方大門交差点の北東側には木造建築が密集している路地が数本残されている。周囲は完全にビル群や近代的な商店など個性のない都市の風景が展開している中で、封じられたように残る路地風景は意外性に満ちている。庶民的な食堂などとして営業されている建物もあるが、今でも遊興の中心として現役の店舗もあるやに聞く。私の訪ね方が悪かったのか経験不足かそのような店があるのには気づかなかったが、やがては段々と更新され、何もなかったように都市の一角に埋没してしまうのかもしれない。



訪問日:2012.05.26 TOP 町並INDEX