七戸の郷愁風景

青森県七戸町<商業町・城下町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 8 −城下町を基盤に商業の発達を見た上北郡の中心地−




造り酒屋の建物を中心とした展開の七戸中心部




 七戸町の最も古い歴史は城下町に遡る。市街地を見下ろすように城跡があり、一帯を支配していた三戸南部氏により14世紀後半頃築城されたといわれる。盛岡藩は郡の下に通という自治単位を置き、当地は七戸通の中心地であったが、大きな通であったためその下にさらに11の下級の通が置かれていたという。七戸には代官所が設置されていた。






 政治的な中心地であり、また宿駅にもなっていたため江戸中期頃から商業も発達した。この頃上方の商人が藩内に続々と進出し、とりわけ近江商人が多く移り住んだ。七戸村にも数多くの商家・商人が立地し、呉服・質屋・薬種などを営んだ。中でも酒造は冬期寒冷なこの地方で良質な酒造りの技術が磨かれ、後に南部杜氏と呼ばれる有名な杜氏を育んでいる。また、江戸後期の文化から天保年間にかけては近江以外の商人も多く活躍した。
 幕末期には五戸通の13ヶ村と併せ七戸藩が成立したが、廃藩置県により短命に終わっている。しかしその後も上北郡役所が置かれ郡内の中心地となった。
 市街地は城跡の丘より東側に展開している。古い町並としての中心となる造り酒屋の建物は土蔵や煙突のある風景を従え、町並景観に貢献している。但し操業されているように見えないのが心配だ。伝統的建物が連続しているというよりは面的に広範囲に見られるといった風情ではあるが、商家建築や屋敷型の邸宅、登録文化財の洋風建築など様々な建物の姿が見られる。幅広く、また長きにわたり栄えていただろうことがわかる。
 





訪問日:2018.04.29 TOP 町並INDEX