椎田の郷愁風景

福岡県椎田町【宿場町・漁村】 地図 <築上町>
町並度 4 非俗化度 10 −中津街道 海辺の宿駅 −



 椎田町は北九州市より30km余り、日豊本線と国道10号線が通り周防灘に面している。
 河口対岸の湊村とともに港が設けられ、小倉城から南下した中津街道(下往還、小倉道などとも)は椎田と南に接する湊の各村を貫通し、椎田には宿場町が形成された。藩の茶屋や旅籠だけでなく、築上郡の中心として郡全体を統括する郡家と呼ばれる郡奉行の役宅も置かれていた。
 また、記録によると文化7(1810)年及び8年に伊能忠敬一行の測量隊がここを訪れ、それぞれ湊村の村屋宅、椎田の大庄屋宅を本陣として宿泊している。
 町並の雰囲気からは宿場町や街道集落といった色を余り感じることができないが、旧街道筋は国道10号と斜めに交わるような形で残っており、平入り妻入り混在の家屋、一部に漆喰の塗屋造りとなっている建物などが見られる。
 またこれとは別に、国道の南側、椎田駅寄りの路地に展開する商店群も古い町並としての雰囲気がある。街道沿いとは後発的に発生した商店街なのだろうが、今残る古い建物の建築年代は同じ頃と思われる。
 国道を走っていてもまず気付くことはなく、人知れず息づく町並である。


椎田の町並(国道南側の駅前付近)




椎田の町並(旧中津街道沿い)




椎田の町並(旧中津街道沿い)

訪問日:2016.07.17 TOP 町並INDEX