和具の郷愁風景

三重県志摩町【漁村】 地図  <志摩市>
 
町並度 4 非俗化度 6  −英虞湾を形成する半島の中心地−



 志摩地方の南部、先志摩半島と呼ばれる細長い半島は英虞湾を形成し、半島北岸にも数多くの入江や内湾を有し養殖漁業が行われている。鳥羽藩領鵜方組に属し、古くから漁業が盛んで海女も多かったという。海女たちはサザエ等の採取漁業を行い、その他近海漁業、明治になると英虞湾での真珠養殖も発達した。
 和具地区は半島の丁度中ほどに位置している。諸機関や学校等もある中心街は南岸側にある。バスも通るメインの道には商店が目立ち、住宅地が展開している。路地に入ったところには「旅籠」と記された看板を持つ旅館の姿があった。しかし、多くは現代的な姿であり、このように南岸一帯は観光地的な色合いも濃く、古い町並としての特徴は淡い。
 この付近の半島の幅は1km余りと狭く、地区は太平洋岸と英虞湾岸を跨いでいる。賢島への船が出る港へ向け一本道を英虞湾側に足を向けると徐々に土地が高くなり、道の両側の小高いところにも家々が建ち並んでいる。それらの路地を辿ると、所々に入母屋の厳かな屋根を持つ旧家などが現れる。そして港に近いところには伝統的な建物が何棟か連なる古い町並らしい風景も残っていた。二階正面に木製欄干を持つものもあり、今は仕舞屋になっているが旅館か商店だったのだろう。
 客船の出る港から5分ほど西に向うと、多くの漁船が停泊する漁港があった。小さな入江の数多い半島のこと、特に英虞湾側は波も穏やかで天然の良港が連続しているようだ。


 


 
 和具の町並(港への道沿い)








英虞湾沿いの漁港風景


訪問日:2022.01.02 TOP 町並INDEX