島勝浦の郷愁風景

三重県紀北町<漁村> 地図
 町並度 5 非俗化度 8 −半島の入江に開ける漁村−









木製欄干の見られる家屋の目立つ島勝浦の町並
 

 志摩半島の南岸から熊野市にかけては、全国でも有数の沈降海岸であり入江が連続した入組んだ海岸線が連なっている。そのため陸路は発達しがたく比較的近年まで海上交通に依った生活が続けられていた。ここで紹介する島勝(浦)地区もそうした漁村の一つである。
 島勝浦の地名は、古くに志摩国に属していた時代に志摩の勝浦と呼ばれていたことに起因するらしい。なるほどリアス式海岸の入江に抱かれた姿は勝浦を思わせる。
 漁師町は入江沿いのわずかな平地に展開し、集落の中心に村の規模には不似合いなほどの神社があり、訪ねた時秋祭りが行われていた。この島勝神社で行われる祭はかます祭と呼ばれ、カマスの豊漁を祈願して山車が出る。こうした祭というのはその地域の独自性が見られる最たるもので、町並探訪に支障がない限りは思わぬ眼福となる。
 家々の特徴は二階に装飾性の強い木製欄干が見られることで、遊里をも想起させるがかつては船宿だったのかもしれない。江戸時代には捕鯨も盛んで、またマグロや鰤、鰹などの漁獲が多く、明治以降は定置網や遠洋漁業の基地として賑った。
 漁港も近代的なたたずまいであり、現在でも潤っている様子がうかがえた。
 




海岸には現役の旅館も散見される
訪問日:20010.10.10 TOP 町並INDEX