野波の郷愁風景

島根県島根町【漁村】 地図 〈松江市〉
 町並度 4 非俗化度 10 −島根半島最北部にある漁村−

             

野波の町並


 島根町野波は島根半島の北海岸、日本海に面するところである。
 北西に向けて半円状に開けた湾奥にあり、風波を避けることのできる地形で港が発達するに適したところだ。古い文書では野浪、農波などとも記され、中世初期にはその名が見られる。
 狭いながら平地もあるが、土地は農作にはあまり適しておらず純粋な漁村であった。主に近海で鯛やアワビ、ナマコ、海苔、ワカメなどを漁獲し、それらは松江や米子など近隣に出荷された。半島の北端に近い位置にあることから漁場にも恵まれていたのだろう。地引網も伝統的に行われ、近くの丘の上に魚見台があり、魚影を見かけると浜に大声で知らせて網を打ったという。17世紀ころの記録によると、荷船114・漁船88を保有していた。
 山がちな半島の外海側にあることから一見辺鄙そうではあるが、松江の市街地からも比較的近い位置にあり、空き家となっている家屋は少ないようだった。赤褐色の瓦を葺いたこの地方特有の家並は明治から昭和初期にかけて建てられたと思われる家々も多く、一部は塀を巡らした厳かな姿だった。
 
 











訪問日:2013.10.14 TOP 町並INDEX