島浦の郷愁風景

宮崎県延岡市<漁村> 地図
 町並度 5 非俗化度 8 -日向灘北端に位置する島は意外な佇まいを見せる-

             





漁港風景と高台にある寺付近から見る集落風景


 島浦島は日豊海岸の南部、日向灘の北端に位置し客船が20分ほどで結んでいる。付近の海岸線は入組んでいるが、島は比較的少なく中世には瀬戸内方面から薩摩への航路の中継地となっていた。船の着く島の西側は外海からの風波の影響を受けにくく、中継港、避難港としても適したところであったのだろう。
 藩政期は延岡藩に属し、藩主の参勤交代時にはここを最初の寄港地としていた。『日向地誌』では「市振村宮ノ浦村古江村ノ南東海中ニアリ、海岸ヲ距ル二十町許 高三十余丈 周囲凡三里強」とある。
 島の産業は漁業一本で、鰯の舞う島と呼ばれるほど漁獲にも恵まれていた。今も集落の北側の宇津木地区には立派な漁港が整備され、多くの漁船が見られる。巻き網漁により鯖や鰯、鯵などの水揚げが多く、また島の西側海域では養殖漁業も盛んに行われている。
 典型的な密集漁村集落で、港の背後の狭い谷間と、寺や墓地の立地する小高い岬状の高まりを挟んだ南側の狭い平地に家々が集中している。斜面を駆け上がるほどではないが、寺の高台に上がると平地はすべて宅地に使うといった土地利用となっているのがわかる。 
 集落を構成する家々にも特徴がある。木造家屋が少なく、鉄骨造、RC造が大変目立つ。路地を歩いても木質感の高い家並ではなく、コンクリート造りの家並といった印象である。中には二階部に特徴のあるデッキや屋上部分に手摺などが立上っていて、外観上のこだわりが感じられるものもある。水仕舞いになかなか苦労するように思うが一時期流行ったものだろうか。集落南側では三階建のものも散見された。
 もちろん木造の住宅や商店も見られ、人がようやくすれ違える細い路地もありいつの間にか元の位置に戻ったりする。建物のディテールを観察しながら路地を巡っていると何時の間にか時間が経過してしまう。
  








 



 
コンクリート造の建物が目立つ 左のように特徴ある外観も見られる

 

訪問日:2023.09.23 TOP 町並INDEX