須崎の郷愁風景

静岡県下田市【漁村】 地図
 町並度 4 非俗化度 7 −路地奥に特徴ある土蔵などが見られる半島先端の集落−

 

 

小湾を取り囲むように展開する須崎集落 


 須崎地区は下田の市街地から南東側、小半島の先端付近に位置している。市街地からは半島の丘陵を越え15分ほどでたどり着くことができ、民宿なども多く見られる。
 藩政期は幕府領で、半島のお蔭で入江にあった下田港とは異なり外洋に面しているため風波の影響を受けやすく、港町としては大きく発達することが出来なかった。しかし八丈島の御用船をつとめるなど海事に従事し、また付近の海岸は天草などの海藻類の採取漁業が盛んで、献上品としても取り扱われていたという。また一方で、東海道三島宿の助郷にも指定されていた。
 慶応4年の記録では900名弱の人口を有し、明治24年の統計では982名とある。大正に入ると硫化鉄を産する鉱山が開発され、昭和16年頃まで続けられた。
 
 南伊豆地方に特徴的な海鼠壁の多用される建物が目につく。建て方の特徴として、海岸に平行に建てられた母屋に対して、横路地のような狭い通路が山手に伸びていて、その奥に土蔵などが配置された姿が目立った。そのため表通りはそれほど特徴性が感じられず、路地を覗くと海鼠壁や伊豆石を用いた建物があるといったパターンとなり、少々観察心を持って探訪する必要がある。
 一部では石垣を築いて斜面を克服し、高台にも家々が展開している。少し高いところから見ると見事な屋根をもつ屋敷もあることがわかり、単なる零細な漁村ではなかっただろうことがわかる。
 
 



 
   


 

 
横路地を中心に伊豆石や海鼠壁の土蔵などが見られる

訪問日:2022.04.11 TOP 町並INDEX