下京界隈の郷愁風景(2)

京都市下京区<商業町> 地図(1枚目の写真付近を示す)
町並度 5 非俗化度 4 −仏具屋街に象徴される寺との結びつきが強い町並風景−






 京都の旧市街地は戦災の影響がなく、また住民の伝統意識や条例に守られていることもあって、一部を除いてほぼ全域に古い町並が分布していると言って良い。縦横に小路が交錯する町中を辿ると、思わぬところで古い町並が出現する。
 ここで紹介する下京区の界隈も例外ではなく、むしろ四条通を中心とした界隈より京都駅に近いこの地区の方が本来の京都らしい町並が多く残っている。商業の中心からはやや南に外れているからだろう。余りに範囲が広いので、五条通を境に南北半々づつとし、ここでは南部を紹介する。
 この地区を散策するのはとにかく迷いながら歩く他ない。どこに集中して町並が残るかと問われても場所を特定しがたく、東西南北の通りを一本一本検証しようとすると厖大な時間がかかるからだ。ふと入りこんだ小路に思いがけぬ商家建築を発見したり、長屋風の町家を見付けまた老舗のたたずまいを見るのが、この地区の町歩きの楽しさである。辻の至る所には昔ながらの琺瑯製の地名表示板があるので、簡単な地図を持っていれば方向感覚を失うことはない。
 
油小路通五条下ル中金仏町の町並



新町通花屋町下ル東若松町の町並




鍵屋町通室町西入堺町の町並 六条通間ノ町東入夷之町の町並




西本願寺門前の風景

 
 一帯は西本願寺・東本願寺をはじめとして寺院が多く、特に西本願寺の門前には仏具を扱う店が連続しており独特の町並を形成している。店構えも古いまま営業されていた。
 この地区は主立った観光名所が少なく、観光客が闊歩するような場所はない。静かな住宅地または商業地が整然とした碁盤目の街路に沿って密集している。地図と小路名を
照合しながらそぞろ歩くのもまた観光地巡りとは違った京都を味わうことが出来るだろう。
 


訪問日:2009.02.01 TOP 町並INDEX