伊崎町の郷愁風景

山口県下関市【漁村】 地図
 町並度 5 非俗化度 8 −細長い瀬戸に面して細長く展開する漁村集落−

         
伊崎町二丁目の町並 路地に沿い密集型漁村集落が展開する


 

伊崎町二丁目の町並


 下関伊崎町は下関駅から北西に位置する界隈で、北東は遊興の地としても賑わった新地地区に接し、南側は細い海峡を挟み彦島に相対している。
 江戸時代は長府藩の支藩・清末藩領に属し、伊崎浦と呼ばれる漁村だった。延享4(1767)年の記録で家数233のうち表向浜側家数81、同山側家数78とあり、当時から海沿いに細長く集落が展開していたさまが伺える。その後埋立てが行われ伊崎開作と呼ばれ、各地との物資交易拠点とした。清末藩はここで問屋荷受を行おうとしたが長府藩の反対を受けて問屋業を始めることはできなかったようで、純粋な漁村として経過した。漁業は鰯やサワラ、鯛などの近海を中心としたものであったが漁獲に恵まれ、町場も賑わっていたようだ。
 伊崎町の路地は軽自動車なら何とか通れるほどの狭いもので、その両側に家々が密集して連なり、江戸中期の記録通りの姿を残している。むろん建物は現代風のものではあるが、格子や二階部正面に木製欄干を残すものなどが見られ、また地区の東部では新地地区に接していることもあって銅板葺の庇や窓の意匠など、遊興地に特徴的な外観を持つものもあった。




伊崎町一丁目の町並 伊崎町二丁目の町並

訪問日:2019.10.14 TOP 町並INDEX