品川の郷愁風景

東京都品川区【宿場町・花街】 地図
 町並度 4 非俗化度 5 −東海道最初の宿駅 戦災を免れた貴重な姿が残る−



 品川は近年東海道新幹線の駅が設置され、また鉄道各線の集結拡散するところでもあり東京都区域の南側の玄関口として発達している。
 交通の要衝地であることに関しては非常に古い歴史を持っており、早くも関ヶ原の役の翌年には東海道第一番目の宿駅として指定され、品川宿が成立している。主要街道の江戸四宿とよばれた宿場町の一つで、江戸の西の入口に当たるところであった。
東品川1丁目に奇跡的に残る木造家屋の連なる風景




東品川1丁目の町並
 

 
 江戸に非常に近い位置にあったが本陣などの重要通行に対応した宿泊施設も整えられており、町の中心を分断する目黒川を境に北品川宿・南品川宿に分かれていた。
 江戸を控えて宿駅伝馬の需要が極めて大きかった江戸四宿では、宿駅女郎とよばれる女性を旅籠に置き客に饗応することで経済負担を軽減させていたといわれる。飯盛女という非公認の女郎を含めると、最盛期には2000人を超える女人が品川宿で客の応対を行っていた。遊興地としての残影は今でも北部の一部に見られる。
 また品川宿は東海道が海に接するところであり、かつては品川浦という漁村に接し、そこでは江戸の将軍家に献上する魚類も水揚げしていたという。
 品川駅の周辺は近年大きく再開発され、古い姿をまったく留めない都市の風景が展開しているが、南側に旧東海道沿いを歩くと、戦災から逃れた地区でもあり意外性のある佇まいが連なっている。目黒川の前後1kmほどの間は伝統的な建物も散見される。むろん古い町並といえるほどの連続した姿ではないが、銅板に覆われた家屋や出桁の町家も残っており、また代々営業を続けられているような老舗の建物も少なからずある。都市化の波を被りながらも、古くからの歴史に根ざした町並と判る風景である。
 周囲には寺社も多く、都市部にあって稀少価値のある町の風景といえよう。
 なお北端の北品川1丁目には、湾岸部に面して奇跡的に木造建築の連なる一角がある。背後には高層ビルが見えその滑稽ともいえる対照が印象的だ。しかしこの建築群がいつまで健在でいられるかは、はなはだ心許ないものがある。




北品川2丁目の町並




南品川2丁目の町並 南品川3丁目の町並



南品川3丁目の町並

訪問日:2012.05.26 TOP 町並INDEX