大屋の郷愁風景

長野県上田市<商業町・街道集落> 地図
町並度 4 非俗化度 8 −千曲川右岸に展開する北国脇往還の要衝−





大屋の旧北国脇往還沿いの町並


 千曲川右岸、上田市域の東端付近に大屋地区がある。旧信越本線であるしなの鉄道線の駅前を中心に市街が展開し、鉄道駅を中心に発達した様子がうかがえる。
 当初は左岸側に集落が展開していたがしばしば水害に見舞われたことから、北国脇往還が通る対岸に移転したとされる。往還上には西に上田城下町、東に本海野の両町場・宿駅を控え、依田窪地域と呼ばれる対岸の地域への入口となっていた。街道上の要衝として小規模ながら商工業が発達した。
 また海野・田中両宿へ寄馬を出すなど宿駅の補佐業務も行い、宝永3(1706)年の上田藩村明細帳によると馬数13疋とある。千曲川は交通の難所で、当時は土橋が架けられていたが度々洪水で流され、また両岸から同時に馬を通すことが出来ないほど脆弱なものであった。再構築するまでは渡し船により、両岸に綱を渡しそれを手繰って運航していたという。
 駅前の東西の街路が旧北国脇往還で、小規模ながらも商家を思わせる建物の連なりがあった。中でも「綿屋」と屋号を戸袋の漆喰に刻んだ旧家は堂々たる屋根と広い間口を持つ見事なものである。その他多くは商店として使われ、1階部分がガラス戸等に差し替えられているものの、漆喰の塗屋造りなどの建物が多く見られ、古い町並を残していた。
 現在も道路交通の上で依田窪地域や更に諏訪地方への玄関口となっており、交通の拠点性が保たれている。
 
 




立派な商家も見られる




駅前の風景

訪問日:2021.10.10 TOP 町並INDEX