信達の郷愁風景

大阪府泉南市<宿場町> 地図 
 
町並度 6 非俗化度 6 −中世の熊野詣・近世の参勤交代路として深い歴史を刻む−




信達の町並 妻入りの家々が目立つ




 

 泉州地区の鉄道の主要幹線は海岸近くを走る南海電気鉄道と、やや内陸部を縦断するJR阪和線とがあり阪和間の高速輸送に互いに鎬を削った歴史がある。古くからの市街地は南海電鉄沿線に開けているが、JR線沿線も新興住宅地が開発され利用客は多い。
 ここで紹介するのはJR線の沿線にある泉南市信達地区の町並である。先に書いたように古い町並は多くが海岸に近いところに展開する泉州地区であるが、信建は例外で内陸部に位置する。町並のほとんどが旧紀州街道に沿って残っているからで、泉州の南端に近いこの付近では和泉山脈の峠越えを控え内陸部に向っている。
 信達は古い歴史を持ち、中世の荘園の名にも現れる。平安期以降は貴族の熊野詣でが盛んになりそのための宿場がここに整備された。後に紀州街道の宿駅として栄えるこの町の泊地としての歴史は非常に深いものがある。藩政期には紀州徳川家の参勤交代路となり、専用の本陣なども設えられ宿場町として十二分な体をあらわしていた。
 一直線の街路に沿うことから街道町であることは疑いないところであるが、家々が旧宿場町で一般に見られるものとは少々異なる。妻入りが多いことと隣家との間に空地が見られることだ。そのため屋根が入り母屋となっている例も多い。どこか農村集落的な長閑さを感じさせる町並である。
 町並の中央やや南側に本陣の長屋門が保存される。この付近の字は信達市場といい、商売人が多く人々も頻繁に行交う宿場町の風情が地名からも感じられるようであった。
 
 

 






旧信達宿本陣

訪問日:2009.03.29 TOP 町並INDEX