新今里の郷愁風景

大阪市生野区<花街> 地図
 
町並度 4 非俗化度 7 −大正期に整備された今里新地−





新今里3丁目の町並

 大今里地区は近畿日本鉄道大阪線今里駅の南側付近一帯を指し、生野区の北端を占めている。北側の東成区域にある今里東・大今里などとは本来一体的な地域であった。
 この地区が本格的に市街地化されたのは大正時代に入ってからであるが、第二次大戦時に空襲の被害を大きく受けることがなかったため、結果的に古い姿が比較的よく残されている。
 料亭を思わせるような外観的特徴を有する家屋が多いのは、花街としての歴史による。大正末期に市街西部にあった松島遊郭を移築するにあたり、郊外地にあったこの今里地区が選択され、今里新地と呼ばれた。今でも通称として使われるこの地名は遊興街を指して用いられることが多い。
 市街地南部にある飛田新地などと並び称される歓楽街であるが、飛田新地は探訪するに際し相当な緊張感を要するのに対し、表向きは純粋な料亭にしか見えないため日中であれば通常の散策と同様に歩くことができる。屋号を掲げた店舗群があちらこちらに見られ、一部は格子や二階部分の木製欄干や戸袋などの高度な意匠に眼を奪われるものもある。
 新地地区の周辺も戦災を免れた地区であるため、大阪でよく見られるタイル貼りの壁面を見せる家屋、長屋風の木造建築などが散在的に残っていた。
 なおこの一帯は韓国人街でもあり、韓国料理の店も多く眼についた。
 




新今里5丁目の町並




新今里3丁目の町並 新今里5丁目の町並

訪問日:2012.07.15 TOP 町並INDEX