宍道の郷愁風景

島根県宍道町【宿場町】 地図 <松江市>
町並度 4 非俗化度 6 −旧山陰道の本陣が残る−



木幡家(八雲本陣)とその内部


 出雲地方、宍道湖の南西端に開ける当町は、山間部からの鉄道や道路が合流する町となっており、古くから高通常の要所であったことが推測できる。歴史を紐解くと古代の駅家に指定されていた時代に遡る。
 藩政時代に山陰道が整備されると宍道は宿駅となり、3軒の本陣を有し舟も所有しており宍道湖から松江城下さらには日本海に出る動きもあったと思われる。その遺構として申し分なき姿を残しているのが本陣の一軒であった木幡家住宅である。大地主であり酒造家でもあった当家は代々松江藩主の本陣を勤め、現在でも八雲本陣という屋号で呼ばれている。主屋は18世紀前半の享保年間に建築されており、県内でも有数の旧家として知られている。国の重文に指定されながらも、現在でも旅館として営業されており、内部は坪庭などで適度に採光され旧家としては開放的な雰囲気が感じられる。
 現在では各種高速交通機関の発達により、交通の要衝としての役割は失われている。江戸期は背後の山地からの物資の集散地、明治以降も鉄道開通までは松江まで蒸気船が就航し、内陸各地には客馬車が走った。
 東西に伸びる旧道に沿い伝統を感じさせる家並が残る。木幡家以外は目立った古い建物は少ないものの、更新された中にも間口の狭さ、建屋が街路に対し斜向きになっている点など、山陰道以来の面影を感じさせる。

 

 




旧山陰道に沿った町並




街道裏手にも所々に土蔵等が散見される


訪問日:2007.11.03 TOP 町並INDEX