田籠・新川の郷愁風景

福岡県浮羽町<山村集落> 地図  <うきは市>
 町並(集落景観)度 5 非俗化度 6 −筑後川支流の山間集落群−





 
 
田籠地区日森園集落の重文・平川家


 東側を大分県に接する山間部、筑後川中流左岸より支流の谷を遡ると、幾つかの集落が点在している。この新川・田籠地区は貴重な山村集落の形態・風景が残されているとして、近年になって重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
 谷とはいえ険しい地形ではなく、そのため棚田などの景観も残り、集落の姿も原形を良く保っているといえる。
 その中でも特筆されるのが田籠地区にある平川家住宅だろう。屋根を平面的に見ると凹型の外観を示す珍しい「くど造り」と呼ばれる屋根を持つ民家で、正面からは茅葺の屋根が三棟連続した姿を見せている。重要文化財に指定されており、しかも現役の家屋として使われている。訪ねた時にはご主人が見え、お話を伺うことができた。屋根が随分綺麗に整えられているが最近葺替えたとのこと、材料はわざわざ熊本県高森から取り寄せているとのことであった。
 集落群を訪ねるにあたりこの平川家を見逃すことは出来ないが、他の集落でも個性豊かな様々な民家・住居の形を見ることが出来る。一部には板塀に囲われ土蔵も従えた重厚な邸宅も眼にする。




田籠地区馬場集落の風景



 江戸時代から林業と稲作を生業としてきた典型的な農山村で、近年になっても極端な過疎状態にならなかったであろうことが集落景観の維持につながったのだろう。
 その成立は別として、保存地区の集落の形としては、石川県の加賀東谷地区に類似した部分がある。
田籠地区馬場集落の風景




新川地区本村集落の風景

訪問日:2016.07.18 TOP 町並INDEX