庄西町の郷愁風景

富山県新湊市 【港町】 地図 <射水市>
町並度 5 非俗化度 10 −河口に挟まれた地に展開する意外性の町並−
 




新湊市庄西町の町並


 この庄西町付近は庄川と小矢部川に挟まれた細長い陸地部で、東西は両河川の河口である。そのような独特の地形にありしかも湾岸部であるから、地図を見ると倉庫群か工業地帯を連想するだろう。しかし、意外にもここには町家建築の残る古い町並が展開している。
 古くは庄川の氾濫原にあり、六渡寺港と呼ばれる港が開け北前船も寄港したという由緒ある港町だ。小矢部川の河口港としても重要な位置を占めていて、今石動(現小矢部市)まで舟運があり、流域の諸物資が集められた。また能登方面の物資もここを必ず中継することになっており、荷の改めが行われていた。
 歴史を知るとこの町並風景も納得できるものがあるのだが、河口に挟まれひょろ長く伸びた土地にあるためもあってその意外性は拭えない。もっともこれは明治35年に庄川の放水路が大規模に開削されたためである。
 ここで見られる家々は切妻平入、妻部は板貼りの外観をしめしている。1階部に出格子の見られる家もあるが、2階部の真壁や袖壁などの特徴的な意匠は見られない。町並を形作っている家々が廻船業などで巨額の富を得た邸宅ではなく、近隣との交易を行っていた中小規模の商家、または小矢部川対岸の伏木への渡しなどを生業としていた家々なのではと思わせた。
 実際のところ、この町並が残っているのはいよいよ海岸に近い突端部で、その南側には大型の工場が鎮座したりして殺風景である。こんな所にと思わせる驚きの町並だ。









南外れに残る洋風建築 町並への目印でもある
  


訪問日:2008.06.07 TOP 町並INDEX