土井の郷愁風景

山口県新南陽市<街道集落> 地図 <周南市>
 町並度 5 非俗化度 9  −裏道に人知れず残る妻入旧家群−
 



 
 土井の町並 中島屋酒造(左下)を中心に小規模ながら濃厚な古い町並が見られる


 土井地区は新南陽の市街地に接する位置にあり、山陽本線の駅と国道2号線の間に展開する。旧山陽道より分かれ内陸部の鹿野に向う鹿野街道に沿う町で、一本道の街村の形態をなしている。
 鹿野街道は鹿野を経て萩にも通じており、萩城下と山陽筋を結ぶ道としても使われた。要人の通行もあり、また内陸部の産物と海産物や塩そして日用品などが流通する街路でもあった。
 土井の町並を象徴するのが中島屋酒造であろう。主屋の正面は現在の表通りとなる道路側ではなく、あくまで旧鹿野街道の方に向いており、そのことだけでも古い歴史を感じさせる。文政6(1823)年に創業した由緒ある酒造家である。
 その他にも江戸期より当地は各種商店が連なっていたという。山陽道に脇街道が合する地、本街道とは別の地場の賑わいがあったのだろう。今はひっそりとした小路といった趣であるが、辻に小さなほこらが祭ってあったりする情景は微笑ましい。

町並が展開するのはわずかな範囲であるが、質はなかなか高く、妻入り町家が程度よく残されている。その中でシンボルといえるのが中島屋酒造だろう。1823(文政6)年創業以来200年余にわたり酒造業を営んできた老舗で、堂々たる構えの主屋をはじめ、門構えや酒蔵など延々と小路に沿って展開し、自らが町並を形成している。
 また、表通り側に門を構える登録有形文化財の洋風医院建築(旧日下医院・S3築)が地区の中で異彩を放っている。昭和49年に閉院後はしばらく活用されていなかったが、店舗やイベントスペースとして再利用されており、訪れる人の姿も少なからずあった。
 
 



 
 主屋が重厚な構えを見せる中島屋酒造
 



 
 中島屋酒造付近 旧日下医院 

※2024.12最終訪問時撮影
 
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訪問日:2002.01.04
(2024.12.29最終訪問)
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