信州新町の郷愁風景

長野県信州新町【在郷 地図 <長野市>
 
町並度 5 非俗化度 8 −川運による商取引で栄えた町−







信州新町の町並 左は廃業されているが旅館の看板が見られた


 信州新町は信濃川の支流犀川の流域に町域が開けており、長野市から南西約30kmの位置にある。町名は昭和の大合併で3町村が合併した際、その一つの新町に信州を冠したものである。犀川はこの上流域で松本盆地を形成し、塩尻の南の鳥居峠、大町の北の仁科三湖と呼ばれる青木湖などの辺りがその源流となっている。
 
 この町の発展は犀川の水運によるところが大きい。新町村は商業町としての歴史が古く、その記録は戦国期にも遡るという。江戸初期には九斎市が開かれ、馬市も年2回行われた。後期には松本との間を犀川通船が行き来し、善光寺、松代方面とも水運で結ばれ、新町の在郷町としての発展は最盛期を迎えた。明治後期に篠ノ井線が開通しても役割は終えず、昭和に入り戦前まで続いた。
 産業は麻が換金作物として出荷され、また米穀類や綿なども産出されていた。明治から対象にかけては養蚕も盛んだったが以後急速に衰えている。
 新町という言葉とは異なり町は古びた商業町時代の様相を濃厚に感じさせるものであった。国道19号線の一本北側の道筋に比較的まとまった形で古い町並が残っており、洋装の建物、百貨店の看板を掲げた建物などがそれを象徴しているようだ。
 旧家の造りも町家風で、重厚な屋根を持つものもある。これらは近隣の地域で言えば松本の旧城下町などに残っているものと類似している。やはり水運によって深いつながりがあったことを思わせる。
 
 









訪問日:2014.09.15 TOP 町並INDEX