潮岬の郷愁風景

和歌山県串本町【漁村・農村集落】 地図
 
町並度 5 非俗化度 8 −本州南端・潮岬近くに展開する半農半漁の町−








潮岬の町並


 本州最南端となる潮岬は串本の市街地から南に3kmほど、小半島の先端にある。黒潮の本流も近く冬でも温暖な地域ではあるが、一方で台風の影響も受けやすいところである。
 半島の海岸線は崖が切り立っている箇所が多いが、内陸部は標高50〜60m程度の台地状となっており、幾つかの集落が見られる。
 西部にある潮岬集落はもとは上野浦、出雲浦と呼ばれ、明治期に合併して成立している。潮岬沖の太平洋は特に鰹の好漁場として古くから知られ、海老や鮑などとともにそれらの漁獲で生計を立ててきた漁村であると同時に、半島の平坦地を利用して農業も盛んに行われた。農作物は主に芋と麦であった。
 明治中期以降、海外移民熱が強まり、昭和13年までの移住者は509人を数えた。移住先はオーストラリア、ジャワ、フィリピン等で、現地でも経験を活かし主に漁業に携わったという。
 潮岬灯台付近から北側に内陸に延びて行く道がこの集落の中心を貫いている。緩やかな起伏はあるが集落の中心付近は比較的平坦である。特徴的なのが石垣や煉瓦、生垣で囲われた家々が多いことだ。それは台風等の強風対策であり、風土をあらわす町並景観として貴重なものだ。
 派生する路地には広い敷地を持つ邸宅もあり、岬に続く小半島上の集落としては意外な印象を受けた。鰹漁などで富を得たのだろうか。
 この潮岬集落は一つの町といってよいほど大きく、小中学校もある。潮岬測候所もこの集落内にある。
 
 
 






訪問日:2015.12.28 TOP 町並INDEX