塩谷の郷愁風景
新潟県神林村<港町> 地図 町並度 6 非俗化度 10 −荒川河口の港町− |
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塩谷は県の北部、岩船郡の南部に位置しており山形県南西部を源とする荒川の河口北側に展開する町である。海岸線に沿って直線的に連なる町並は、荒川にぶつかる位置から直ちに始まり、砂丘の微高地に家々が建ちならんでいた。 |
神林村塩谷の町並 | |
河口港として古くから重要な位置を占め、中世末期には対岸の桃崎村と並んで港が機能していた。 江戸時代は一時期を除いて村上藩の支配を受けており、藩域の重要な港の一つとされていた。藩はここに番所を設け、出入りする諸船や旅人などを改めていた。港の規模も大きく、「正保国絵図」によると200石船も停泊できるとある。西廻り航路が盛んになると、この塩谷港にも寄港する商船が多く、問屋や商人が多く台頭していたものと思われる。 また対岸の桃崎浜との間には渡船が古くからあったが、江戸時代になると新潟と村上城下を結ぶ街道の一部とされたため、渡守と呼ばれる任務も重要だった。塩谷は渡し場を控えた宿駅としての機能も兼備えていたとされる。 かつて渡しのあった付近から、河口の茫洋とした風景を後にすると小高い丘があり神社がある。ここがかつて番所が置かれていたところで、川を下りまた沖から河口を目指す船を一望できる絶好の場所だ。この丘の南側から徐々に家並が始まっている。家々はほぼ妻入りで統一され、伝統的なものは一階部分の入口を除きほぼ全面に出格子が施されていた。きめの細かい格子であり上部で数本ずつ空かしてある。上面には木製の小さな庇が張出しているものが多い。 日本海に直接面す集落で、特に季節風の吹付ける冬の気候条件が厳しいため、家々はほぼ全体が板貼りとなっており、中には通りに面した二階部分に窓がなく、全て板で覆われている例もある。町の北半分ではやや街路が広くなり、妻入りの伝統的な家屋が多数連続した見応えのある町並風景が展開していた。 醤油醸造を現在も続けられいている老舗もあって、北前船以来の町の繁栄が今でも語り継がれているようであった。 木質感の高いこの妻入りの町並は、いかにも日本海岸の古い港町という風情が濃厚に漂い、歩いていて独特の雰囲気を感じ取ることができる。伝統的な古い町並として、保存活動を行っていく価値もある町並である。 |
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妻入りの伝統的な建物が連続する | |
訪問日:2007.05.03 | TOP | 町並INDEX |
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