白市の郷愁風景

広島県東広島市高屋町<市場町(城下町)> 地図
 
町並度 5 非俗化度 8  −中国地方で最も古い町家が残る−



建築年が明らかなものでは中国地方で最も古い旧木原家住宅(国重文)

 

 白市は、現在東広島市の東部に位置している静かな町である。
 町は周囲より一段と高い丘の上に展開している。これは自然の要塞として中世に白山城を築き、その城下町として発祥したことを示している。しかしそれ以後の白市は、市としての役割を色濃くしていった。地理的にも中国山地から山陽道、瀬戸内商圏への遷移地域でもあり、交通・商業の中継地として旅籠も存在した。
 江戸期の白市は、牛馬市、酒造業、製塩業などが存在し、1655(寛文5)建築の旧木原家住宅は白市を代表する豪商である。内部は公開されており曲った太い梁、礎石、店、座敷、納戸、居間などが保存作業を繰り返しながらも往時の姿を多く留めている。玄関の大戸口はくぐり戸ともなる防犯を重視した造りで、裏庭には井戸、半地下形式の水桶等が当時の石積のまま残る。
 白市は近隣同様、石州瓦調の赤瓦が特徴であるが、木原家は渋い黒本瓦であった。200年ほど前に赤瓦が導入される前はここも全て本瓦だったと聞く。
 町並の規模は小さく、木原家付近をT字の接点として東西の比較的平坦な通り、南に坂道の旧市場町が展開する。東西の通りにも豪壮な旧家が多く、この地域独特の屋根飾りが見事であった。
 この町並は、牛馬が驚くという理由で国鉄を迂回させたため、駅より離れて発展から取り残されたため残ったと言えよう。しかし、町並のすぐ南手まで新しい団地が分譲中で、この町並にまで開発の手が及ばないか憂慮されるところである。


南北の通りは坂の町並です。市はここを中心に栄えたとのことです。

左の坂道を下りきった辺りの町並
袖壁、屋根飾りが特徴です。




坂の南側から町並を俯瞰する



東西の通り.総二階、格子に犬走り、赤瓦の堂々たる旧家です。

※画像は全て2005年1月最終訪問時のものです。

訪問日:2002.03.21
(2005.01.23再取材)
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