白壁・主悦町界隈の郷愁風景

名古屋市東区【城下町に由来する住宅地】 地図
 
町並度 3 非俗化度 6 −戦災を逃れた旧武家地−




白壁一丁目の町並。この付近には町家建築がわずかに残っている。


 名古屋城の東側は高級住宅街で、都心部にあって敷地の広い屋敷が目立つなど風格を感じさせる一帯である。
 都市高速の高架に分断されながら、大きく分けて西側は町家風の建物、東側は武家屋敷を思わせる門構えが眼を引く地域である。
西側の白壁一丁目は県庁や市役所などの行政地区に接し、市政資料館として公開される洋風建築の旧裁判所が威光を放っている。その周囲には、格子をはめた伝統的な町家が散見される。昭和初期に建てられたと思われる長屋風の建物も見られる。
 
 

東外堀町(市政資料館前)にある長屋風の建物




撞木町二丁目の町並 撞木町二丁目の町並 この地方独特の屋根神が見える。




 白壁四丁目ではかつての武家町を思わせる門が保存された姿が目に付く。


 この地域は江戸期には武家地とされ、城の南側の三の丸辺りに高級武士、ここで紹介する白壁・撞木町辺りが中級武士、その東側に下級武士を配していた。多くは太平洋戦争時に失われてしまった中で、この白壁界隈のみが戦災を逃れ、町割が良く残っている。
 東部の白壁4丁目を中心とする地区はマンションの建設が盛んで、邸宅街としての純度もやや低くなっている。あるところでは、武家の門らしい構えの門を入ると、中はマンションというのもあった。
市はここを独自に町並保存地区として指定しているが、さすがに都心部にあって既に古い町並としての景観は風化しつつあるようだ。しかし周囲の近代的な都市部の風景とは画然とした違いが感じられ、その意義はまだ残っていると感じた。町家が取壊されて駐車場やマンションなどに変らないように願う。
 

訪問日:2006.07.16 TOP 町並INDEX