白峰の郷愁風景

石川県白峰村【山村集落】 地図 <白山市>
 
町並度 6 非俗化度 7 −手取川上流域 白山麓に位置する農山村−




白峰の町並 左は大庄屋を勤めた山岸家
 

 石川県の東南端、東に白山を仰ぎ、南は越前と接する山岳地帯にある白峰地区。手取川上流域、谷奥の袋小路のようなところにあり、今でこそ各地へ峠越えの国道が整備されているが、雪深いところでもあり以前は隔絶されがちな地であった。
 古くは牛首村と呼ばれていた。霊山・白山への道は古くから開かれ、越前・美濃方とともに各地から延びていたが、当地はそれら信仰の道沿いではなかった。白山信仰とは無関係に木地屋集落として成立した可能性が大きいとされている。
 江戸初期は越前藩領であったが、後に牛首谷一帯を中心とする白山麓十八ヶ村」が幕府領となり明治を迎えている。美濃国笠松の代官や、越前鯖江の代官支配などを受け、その下で主に牛首村の山岸家が大庄屋をつとめ、取次元となった。
 河岸段丘が発達する地形で水田には不向きで、村民は養蚕、製炭と焼畑による農業で生計を立てた。また養蚕から発展した製糸・布織・紬織は貴重な現金収入元となり、牛首紬の名で広く知られた。
 金沢方面からは谷間を長々と辿る道、越前勝山方面からは峠越えの道となり、現在の道路交通では安易に到達はできるものの険しい谷奥の集落であることには変わりない。最近は温泉地として知られており、集落内に日帰り温泉施設も出来その界隈は外来客もあり賑わいを見せる。近くには寺社もあり、この付近が集落の中心である。ここから麓側は民宿と若干の商店、民家の並ぶ街区、谷奥側は大柄な多総階の建物が見られるより独特性の強い町並風景となり、両者で雰囲気が異なっていた。この中で特に現存する元大庄屋・山岸家の建物を中心として、冬期の豪雪に適合した養蚕民家の姿など貴重な建物が多く残っているとして、平成24年に重要伝統的建造物群保存地区となっている。
 農村集落ではあるが、主屋が街路に面して建ち家々の連続性が感じられる事で、町並景観の点では見応えを感じることができる。また豪雪地帯に対応して、土蔵を含め板張りでほぼ統一されていることも町並の雰囲気を独特なものとしているようだ。














訪問日:2018.08.12 TOP 町並INDEX