上戸沢・下戸沢の郷愁風景

宮城県白石市<宿場町> 地図(上戸沢) 地図(下戸沢)
 町並度 5 非俗化度 8  −出羽13大名の参勤交代にも使われた七ヶ宿街道の宿駅−



 
 


 



 
 上戸沢の町並


 白石市郊外の上戸沢・下戸沢地区は旧街道沿いに宿駅時代を思わせる佇まいが残っている。
 奥州街道の桑折宿から仙台藩領を経由し上山へ至る七ヶ宿街道は途中に七ヶ所の宿駅があったことから名づけられ、奥州とくに出羽の大名の参勤交代に使われた。特に明暦2(1656)年に上山への金山峠が改修されてから利便性が増し、その数最大13大名に及んだといわれる。出羽三山の信仰者、また各種商人の通行も多く幹線街道並の賑わいを見せたという。
 上戸沢は下戸沢(本戸沢)に対して上町と呼ばれ、寛文年間には宿駅としての体裁が整ったとされる。足軽や百姓を含め23軒の屋敷があり、問屋を兼ねた準本陣もあった。町の南側は峠を控えていたからか上戸沢番所が設けられ出入りを厳しく取り締まったという。
 街路の線形のまま残り、街道集落らしい風景が残っていた。多くの家がトタンで葺かれているのは、それらがもと茅葺に由来することを示しているようだ。一部に連続的に連なった箇所もあり、緩やかに曲線を描いていることもあって見応え感がある。
 下戸沢地区は3kmほど市街地寄りに近づいた位置にあり、こちらは緩やかな直線状の坂道に沿い家並が連なっていた。上戸沢を超える50余りの屋敷があり、農業を傍らの兼業がほとんどだったが宿屋も多くあった。出羽置賜郡の幕府領年貢米を一時保管する御城米蔵もあったという。
 トタンで覆われた家はなく、一見妻入りのように見えるが玄関は側面にある家屋が多いのが特徴的だ。互いに近くで成因が同じなのに、上戸沢地区とは家々の趣が異なるものでありその点がまた興味深い。
 
 



 
 



 
  下戸沢の町並

訪問日:2022.07.15 TOP 町並INDEX