酒々井の郷愁風景

千葉県酒々井町宿場町 地図
町並度 3 非俗化度 7 −成田街道の宿場町−





成田街道沿いに残る重厚な商家建築


 酒々井
(しすい)町は佐倉市と成田市の中間、北に印旛沼などのある低湿地帯を控え穏やかな丘陵が起伏する一帯にある。成田線と京成電鉄本線の駅があり、また町域東部には東関東自動車道も通り交通の便は良い。
 中世にはこの付近を統治していた千葉氏により本佐倉城が築城されていた。天正18(1590)年に豊臣勢による小田原攻めの折に北条方に付いていたため同氏は滅亡したが、後にこの位置に陣屋が設けられている。
 一方、現在の町の中心地区には旧成田街道が通じ酒々井宿が設けられていた。この街道は佐倉街道とも呼ばれ、この酒々井で新勝寺方面と外房方面に向う街道が分岐していた。成田山詣でが盛んになった江戸時代以降、往来が増加した。宿駅業務を補助する役割を担わされた助郷と呼ばれる村は、周辺27ヶ村に及んだ。宿継ぎの人馬や駕籠などが常備され、参拝客のみならず出張の役人を泊める旅籠もあり、小見川藩の参勤交代時にも利用されていた。
 この地域の特徴的なものの一つに佐倉牧と呼ばれる幕府直轄の野馬牧場がある。酒々井宿は牧場の管理を委託され、野馬御払所、野馬会所が設置された。その名残が、街道沿いに残る島田家である。寄棟形式の特徴ある屋根を持つ当家は、背後に広大な野馬会所・野馬払所があったという。伝統的な建物はこの邸宅、少し江戸寄りにある重厚な屋根を持つ商家、その他数えるほどであり、古い町並としての体裁を辛うじてそれらが保っている状態にある。




成田街道沿いの町並




野馬会所・払所を勤めたという島田家


訪問日:2016.04.29 TOP 町並INDEX