山口県秋芳町<農村集落> 地図 <美祢市> 町並度 4 非俗化度 8 −カルスト台地独特の地形のもとにある農村集落− |
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窪地一帯に家々が散らばる江原集落の風景 | |
わが国最大のカルスト台地として知られる秋吉台は、一様な高原状ではなく緩やかながら丘や谷がある。一部は山焼等により人の手が入り、草原地帯が波打つ風景はそのものが観光資源ともなっている。 江原地区は台地の南西側の外れにあり、一般の観光客などは訪れないところである。幹線道から細道を10分余り辿ると、案外開けた眺望の一帯に赤褐色の瓦が散在しているのが目につく。特徴的なのが、家々が散らばっているのが周囲より一段と落ち窪んだ地形になっていることである。 これは「ウバーレ」と呼ばれる台地特有の地形で、小規模なものは台地のあちこちで見られるものだが、この集落のように人家や生活があるのは珍しく、最近はネット等でも紹介され、訪れる人も徐々に増えていると聞く。 家々は擂鉢状の窪地の底部、斜面部、丘の上と散在し、ひとところにまとまった形ではない。石灰岩質の土壌は水がすぐに地下に吸収されることもあり生活水や農業用水が得にくく、井戸に頼るしかなかったことにもよるのだろう。 江戸期には既に集落が形成されており、稲作は不可能であったため麦や煙草などが栽培されていた。税として納める必要のあった米を栽培しなかったことで、比較的裕福な農家も多かったといい、新たに入植するものもあったという。 南側の斜面から急坂を辿って集落に入ると、二階の立ち上がりが高く付属屋を従えた大柄な農家が数棟目につく。もと茅葺らしいトタンを寄棟の形に屋根を覆った家屋もある。入母屋の立派な屋根を持つものも少なくない。 谷底に降りて見ると個性が感じる集落風景ではない。ただ谷底にも関わらず河川がないのも特徴で、雨はすぐに地中に浸透し、数箇所ほど側溝から地中へ誘導する吸水口があるという。それらは麓で伏流水として再度地上に現れ、田畑を潤している。 道の傍らには集落の案内板も設けられており、外来者にも集落の特徴などが判りやすく説明されている。静かに散策するのはよいが、観光地化などされず地元の方々の生活が息づくところであるべきだろう。 |
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斜面部の集落風景 | |
丘上の集落風景 | 窪地底部の集落風景 |
訪問日:2024.10.13 | TOP | 町並INDEX |
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