総持寺の郷愁風景

大阪府茨木市<門前町> 地図 
 
町並度 5 非俗化度 6 −9世紀にも遡るという総持寺の門前町−
 


 阪急京都線で高槻市から大阪方面に向かうと二つ目に総持寺という駅がある。普通列車しか停車しない駅で、駅前風景も雑然とした狭苦しい都市近郊駅の佇まいだが、そこから歩いてわずか5分ほどのところに思わぬ古い町並が残っている。
 駅名のとおり、総持寺という真言宗の寺院があり寛平2(890)年創建という極めて古い歴史を持つ。西国32箇所霊場の一つにも数えられ、参拝客も多かった。江戸期以降においても、寺院の地位は今とは比べ物にならぬほど高いものがあり、しばしば政治的権力をも有するものであった。総持寺にあっては、開基者は藤原中納言山蔭という人物であったが、一族が代々に渡り氏寺的に保護したこと、比叡山の延暦寺の末寺に位置づけられたことによりその存在は大きかったという。
 総持寺は現在でも周囲の市街と不釣合いなほど厳かな姿を見せていた。そしてその東側の小高いところには、意外性に満ちた町の風景が展開している。塀に囲まれ、土蔵を従えた伝統的な邸宅、つし2階で虫籠窓を持つ町家、それらが複雑に入組んだ路地に沿い縦横に見られる。微高地にあるという地形的なもののためか、或いは門前街として保護されてきたためか、周囲とは画然と異なった町並景観を示していて、その対比は見事であり、また滑稽でもあった。



総持寺一丁目の町並










訪問日:2014.07.19 TOP 町並INDEX